おはよう。今朝の一言です。

技術の伝承とは、言葉の伝承でもあります。

隆太窯、中里太亀さんは、父である隆さんから、とことん量を作れ、一日五百個は作れ、そう言われたそうです。

朝の５時から始めて、夜の11時まで作陶に打ち込んでも、500はできない。

しかしその没入の中で、「無駄」に気づいたと教えてくれました。

意味のない無駄ほど、量をこなす修行に邪魔なものはないはずです。

手際という技は、正に無駄の発見から身に付くものだと思います。

到底こなし得ない量へのチャレンジは、とことんまで洗練された手際へのチャレンジでもあったことでしょう。

初めて隆太窯で太亀さんの作品を手にしたのは、もう30年も前のこと。

一気に太亀さんの酒器に惹き付けられたのは15年ほど前でした。

その頃は、ワイングラスの学びを深めていたとの事。人間の変化は、様々な学びの深化のなかで、醸成されるのだと実感しました。

本物とは、人格の刻印を感じられるものを指すと考えています。

長年愛着をもって親しんできた器たち。その作り手と杯を重ねる夜は、心が弾けるようなプレゼントでした。

インカレ、器の旅。今日は有田に向かいます。

では、今日も一日ガンガン学びましょう。