2024-4-17
今日の一言 4.17
おはよう。今朝の一言です。
一つの思想をとことん辿る。
その時代その時代の思考の輝きを、この今の時代に置き換えていくプロセス。
哲学研究会のテーマはそこにあります。
今回はハンナ・アーレント。
ユダヤ系ドイツ人として生を受け、ナチスのユダヤ人絶滅計画の足音に恐怖を感じアメリカに亡命した、実存主義の第一人者です。
その思考の溢れんばかりの新鮮さに、大学生の頃、随分とページを括りました。
ハンナ・アーレントが、その人生の転機に立ったのはナチスでユダヤ人絶滅計画を遂行したアイヒマンの裁判傍聴記録を記したときでした。
私は指示にしたがっただけ、つまり当時の法の定める所に忠実だった。
故に、この裁判で有罪を宣告される謂れはない。
ユダヤ人600万人を計画的にガス室に送り込み、死に至らさせた男は、余りに凡庸な言い訳を口にするだけでした。
ただ数学的に処理をする。その時、資料に在る600万人の命は、単なる処理すべき数的目標に過ぎない。
そんなアイヒマンを、ハンナ・アーレントは、言葉にするまでもない悪の凡庸と、表現したのです。
しかし、その言葉は復讐心にいきり立つユダヤ人、イスラエルには届かず、絶対的極悪人を凡庸と表現したハンナは、とことん反論と罵倒の中に我が身を置くことになったのです。
ハンナ・アーレントの凄みは、世界中を敵にしようと、自分の思考を曲げずとことん言葉にし続けたこと。
そこには、自らの思考を何処までも信じ、思考する人間の在り方の理想が在ると思うのです。
ハンナ・アーレントに心を馳せる時から40年以上が経ち、改めてハンナ・アーレントを、学ぶ時を心楽しく味わってきました。
明日の哲学研究会、楽しみつつ語る一日にしますね。
では、今日も一日ガンガン学びましょう。
投稿者: syworks 日時: 2024-4-17 | パーマリンク